ITリテラシー

最近、学内LANのインターネット接続に向けて、Proxyの構築をしている。

といっても公開用Webサーバがあるわけではないので、Reverse Proxyとしての機能は持たせない。単純なCache用である。それでも端末が100台以上ある為、クライアントの設定を一台一台変えるのはめんどうだ。ということで、透過型Proxyにする予定。

Proxyの設定や運用も、そこまで難しいものではないので、カウンターパートもなんとか理解してくれそうなのだが、問題は技術面ではなく倫理的なところにある。

そもそも、Cache Proxyを導入する目的は、当たり前のことだがHTTPアクセスの高速化である。細い回線を用いて何台ものPCが接続するので、少しでもアクセスが早くなるようにという願いが込められているのだ。しかし、学生や先生の多くが、インターネットで何をするかと言えば、

1位 チャット
2位 FriendSter
3位 ネットゲーム
という、なんとも情けない状況なのである。ここは大学なのに、だ。

そこでSEが真っ先に考えるのが、「フィルタリング」だろう。物理的に、これらのアクセスを禁止すればいいのだ。また、「禁止」までいかなくても、「監視」することで注意を促すという方法も考えられる。自分も早速カウンターパートに相談してみることにした。しかし、彼も御多分に漏れず「チャット」と「FriendSter」と「ネットゲーム」のヘビーユーザだ。すぐにYesと言うわけが無い。しかし、何度も言うように、ここは大学なのだ。私用で使うならネットカフェに行けと思ってしまう。

だが、彼等がこういったネットの使い方に熱中するのも分からなくはない。自分もインターネットを使い始めた当初は、様々な機能と可能性を持ったサービスに目を輝かせていたような気がする。フィリピンでは、自宅にパソコンを持っている人はまだまだ少ない。持っていたとしても、インターネットには繋がらない。ネットをするにはネットカフェに行くのが普通だ。といっても、1時間で30ペソ。こちらでの一般的な食事一食分の値段だ。そーそー行けるものでもない。となったら、タダでネットが使いたい放題の環境が与えられたら、水を得た魚のように、好きなサービスに接続しにいくのは、当然といえば当然かもしれない。

この問題は、世界中のコンピュータ隊員が共通で抱えている。技術教育はたやすいが、倫理教育は、その国の国民性、文化、慣習などあらゆる要素が絡んでくるだけに、一筋縄ではいかない。「これがフィリピンだ」と鵜呑みにするのは簡単だ。異文化を受け入れる姿勢を重要視するなら、これが正解なのだろう。しかし、自分がここに来た意味は何なのかを考えると、この問題を無視することは出来ない。なんらかの対策を考えなければ。