興行ビザ発給制限問題

今日は、これまであえて取り上げてこなかった、フィリピン人エンターティナーに対する、興行ビザ発給制限問題について触れてみたい。

これまで当Blogにも、事あるごとにこの問題に関するエントリーからのトラックバックが寄せられていたが、私は態度を明確にすることが出来なかった。

なぜなら、自分の周りだけでも、この問題の結論次第でその後の人生が大きく左右されるであろう人が数多くいて、また彼等一人ひとりが望む結論もみんな違うからだ。そして、彼等の主張する意見は、反対派であろうと賛成派であろうと、それぞれに納得できる部分があり、単純に「私はこの件に対して黒」などと公言できるような立場にはない。こういった環境に身を置いているが故に、私は自分の態度をグレーゾーンのままにしておく他なかった。

職場の同僚にも、彼女がジャパユキだという人がいる。自分が住んでいる町にも、日本でフィリピンパブにはまって、とうとうこっちに住みついちゃったという日本人もいる。元ジャパユキで、日本語を得意気に話すおばちゃんもいる。フィリピン人の人身売買について警笛を鳴らすNGOの人もいる。また私には直接面識がないが、興行ビザが発給制限されると、色々な意味で困る比人・日本人のブローカーがいる。どんな反発があろうとも、あくまで入管法を改正するという姿勢の日本の官僚もいる。

当たり前のことだが、色々な立場の人がいて、利害関係が対立しているからこそ、この一件が大問題になっているのであって、誰しもが納得いく結論を得られるような話なら、そもそもニュースにすらならないはずである。

しかし、フィリピン人のトラフィッキング(人身取引)が現に存在し、それを防止する為にはなんらかの処置を取らなければならないという方向性は、至極当然の流れだ。

今の業界団体と政府との対立をみていると、トラフィッキングの定義だとか、フィリピンパブは人身取引の温床となっているのかなど、ミクロなレベルでの小競り合いばかりが表に出て、肝心のフィリピン人は蚊帳の外のような印象を受ける。

守らなければいけないのは、フィリピン人エンターティナーと呼ばれる人々の「人権」なのであり、ブローカーやフィリピンパブの利益でもなく、政府・官僚のアメリカに対するメンツでもない。

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