ティラピアの養殖

フィリピンの食用魚の王様的存在は、ティラピアという淡水魚だ。

見た目はチヌ(黒鯛)のような概観を持ち、味もおおよそ鯛のそれとよく似ている。淡水魚特有の臭みはなく、とても淡白で食べやすい。しかし、フィリピンでは高級魚の類に入り、お祝い事でもない限り、あまり食卓で見かけることはない。

うちの大学の水産学科では、このティラピアの養殖に力を入れている。JICAからも、養殖の技術移転のために、1人ボランティアが入っているという状況だ。私が配属されているキャンパスは、ルソン島中部にあるラグナ湖に面しており、湖畔部分を利用して養殖の実験を盛んに行っている。

しかし、養殖用の生簀は土を掘って作っただけの簡素なもので、すぐに壊れてしまう。また最も重要な水についても、乾季になると干上がってしまって、魚が死んでしまうとのこと。苦労はとっても多そうだが、おいしいティラピアを、もっと多くのフィリピン人が気楽に食べれるように、ここでの研究は是非とも成功させて欲しいと、切に願う。