Yahoo! UI Library

Yahoo! Developer Network にて、User Interface Library の配布が開始された。

blog-photo-20060214.gifとりあえずダウンロードして Example フォルダにあるソースを眺めてみたが、DOM 操作とか ドラックアンドドロップ 関連の Library はどれもすばらしい。ツリーやスライダー関係のパーツも豊富なので、見た目に派手なことをしたい場合の部品としては重宝しそう。 

しかしあれだ。最近 prototype.js とか script.aculo.us とかの JavaScript のライブラリが大量に出回るようになってきたので、自分でスクリプトを一からしこしこ書く必要がどんどん薄れてきている。まぁ、これが Web 2.0 の一つの側面だと言えばそうなんだろうけど、あまりにこういう便利なものが増えすぎると、部品の切り貼りだけで達成感を得てしまうようなへたれ技術者を量産することになりはしまいか?

と、こんなことを考えていたら、2年前くらいのCNETに掲載されていた梅田望夫のコラムのことを思い出した。「インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞」と題したコラムの中で、羽生善治の面白い話しが紹介されている。

羽生善治は、インターネットでの学習を「高速道路」となぞらえた上で、

「情報の整理のされ方と行き渡り具合の凄さ・迅速さ(序盤の定跡の整備、最先端の局面についての研究内容の瞬時の共有化、終盤のパターン化や計算方法の考え方など)」と「24時間365日、どこに住んでいようと、インターネット(例、将棋倶楽部24)を介して、強敵との対局機会を常に持つことができる」という2つの要素によって、将棋の勉強の仕方が全く変わってしまった。そしてそれによって、将棋の勉強に没頭しさえすれば、昔と比べて圧倒的に速いスピードで、かなりのレベルまで強くなることができるようになった。
しかし、その後に大渋滞が待っていて、
確かにそのレベルまでは一気に強くなれるのだが、そこまで到達した者たち同士の競争となると、勝ったり負けたりの状態になってしまい、そこから抜け出るのは難しい。一方、後ろからも高速道路を駆け抜けてくる連中が皆どんどん追いついてくるから、自然と大渋滞が起きる。最も効率のよい勉強の仕方、しかし同質の勉強の仕方で、皆が、高速道路をひた走ってくる。結果として、その一群は、確かに一つ前の世代の並のプロは追い抜いてしまう勢いなのだが、そうやって皆で到達したところで直面する大渋滞を抜け出すには、どうも全く別の要素が必要なようである。
つまり、インターネットの普及によって、理路整然とまとめられた情報にアクセスすることが容易になり、知識の習得という点で大幅なショートカットが可能になった(本を読んで知識を得る場合と比べたら、その時間的短縮は劇的なものだろう)が、逆にそれは誰でもある程度のレベルには簡単にいくことが出来るため、その先で大渋滞が起きてしまうということを意味する。

まぁ、大量の「セミプロ」が群雄割拠する現在のIT業界で生き残るには、薄っぺらい知識武装だけでは本物の「プロ」にはなれないということでしょうか。

Yahoo! UI Library
http://developer.yahoo.net/yui/
O'Reilly Radar > Yahoo! Open Sources UIs and Design Patterns
http://radar.oreilly.com/archives/2006/02/yahoo_open_sources_uis_and_des.html
CNET Japan Blog - 梅田望夫・英語で読むITトレンド:インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/001909.html

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