自転車タクシー

日本で自転車タクシーが普及し始めているとのこと。

2002年に京都で始まり、現在は東京、大阪、沖縄など10都市に広がりを見せている。

この自転車タクシーを普及させたのは、NPO法人の環境共生都市推進協会。各都市での運営も現地のNPOと協力して行っている。また、アルバイトのドライバーに対する給料も、完全歩合制を取っていて、自分が稼いだ分は全て自分に入るという仕組み。

収入の柱となるのは、自転車タクシーの車体に貼り付ける広告。幸い昨今は、環境経営に力を入れる企業が多く、広告の評判も上々とのこと。また、実際に乗車してみたお客さんからも、「普段とは違った街の景色が見れてよかった」などの意見が多く聞かれ、ますますスローライフの浸透ぶりを実感させられる。また最近では、愛地球博の開催も影響して、この「環境にやさしい」乗り物の人気がどんどん上がってきているようだ。

この自転車タクシーは、世界的に見れば全く珍しいことではない。現に日本で使われている自転車タクシーの多くはドイツ製だし、フランスなどのヨーロッパ諸国では沢山の自転車タクシーが走っている。また、私の住んでいるフィリピンにも「ペティキャブ」と呼ばれる自転車タクシーが広く普及しており、庶民の足として欠かせない存在となっている。

ここで視点をフィリピンに向けてみよう。フィリピンのペティキャブドライバーは、果たして「環境保全」とか「スローライフ」なんてことを意識しながら自転車をこいでいるのだろうか?私の知人のペティキャブドライバーと話す限りでは、「もしお金があるなら、トライシクルジプニーの運転手をやりたい」といっている。そのほうが、効率的にお金を稼げるからだ。しかし、こちらのトライシクルやジプニーは、フィリピンの排気ガス地獄の根源とも言われるほど、環境にはやさしくない。今日食べるだけのお金を稼ぐのに必死な人々にとっては、日本で自転車タクシーが広まっていることの本意などは全く理解できないだろう。また、理解できたとしても、「環境問題を優先させていたら、生活していけない」という切実な願いを訴えられれば、先進国の人々が次の言葉に詰まるのは必至だ。

京都議定書の批准をめぐる、途上国と先進国との意見の相違も、ミクロ的に見れば上述のような問題に端を発しているといえる。とても深遠で根の深い問題だ。

Velotaxi Japan
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