噴火の爪あと

ピナトゥボ火山のあるザンバレス州に行ってきた。

1991年に起こったピナトゥボ山の噴火では、10万km²もの農地が火山灰に覆われ、4万戸もの家が崩壊し、500人以上もの命が奪われた。

写真は、当時の火山灰泥流(lahar)によって埋め尽くされた川の写真である。写真中央の女性のように、対岸の集落まで徒歩でわたる人の姿がよく見られる。最初この風景を見たときは、西部劇の舞台に来たような気分だった。砂嵐(正確には火山灰の嵐)が吹き荒れ、緑は失われ、風の音以外聞こえないという状況で、しばし立ち尽くすしかなかった。

全てが灰によって埋め尽くされてしまったという事実に加え、当時の被害の大きさ、そして今なお続く二次災害への恐怖を考えると、自然の猛威の前に立っては、人間は何も出来ないという至極当然の事実に、ただただ押しつぶされそうになるばかりだ。

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