アロヨ政権の愚行

今日もマニラでは警官隊による厳重な警戒態勢が続いている。

blog-photo-20060225.jpgテレビでは Ayara 通りでのラリーの状況がずっと流れているが、カメラを介してみるマニラと実際のマニラとはかなり様子が違う。

写真は今朝 Ayara 通りの入り口付近で撮影したものだが、交通混雑はなく、空も気持ちいいくらいに青い。とてもこの写真中央のビル郡の下でラリーが繰り広げられてるとは想像もつかない。

Makati のショッピングセンターや飲食店も平常時と全く変わった様子はないし、Village 内では住民が犬の散歩やジョギングをしており、ごくありふれた週末の雰囲気が漂っている。しかしアロヨ曰く、現在この国は「非常事態」なのだそうだ。

非常事態宣言発令から一夜あけた今日、早くも各方面に影響が出始めている。

まずはメディア規制。反政府勢力の封じ込めに本格的に乗り出したアロヨ政権は、地元紙の Daily Tribune に対し、令状無しの捜索を強行。これはアロヨが宣言の中で、「反政府勢力の主張が国内報道機関の一部により誇張されている」と指摘し、うわさや根拠のない情報を伝えないよう求めたことによるもの。「公平な報道」に対する指導的措置といえば聞こえはいいが、明らかに言論の自由を抑圧する愚行である。

そして次に、国会内の左派系勢力の押さえ込み。既にグレゴリオ・ホナサン元上院議員 (2004年のオークウッドホテル占拠事件の首謀者とされる) を訴追し、数名の左派議員の身柄が拘束されたと報道されている。非常事態宣言をしたことで、様々な超法規的措置が容認されるのをいいことに、目障りな存在を一掃しようという心積もりなのだろう。まったくもってやりたい放題である。

自分勝手な軍部のクーデター未遂と "たった一人の(←アロヨ)非常事態" 宣言から引き起こされた今回の騒動。国民不在で強行される政変劇のツケを支払わされるのは、結局はフィリピン国民なのだということは、きっと誰もが認識していることだろう。しかし、だからといってすぐに国民の意思が政治に反映されないというのもこの国の特色なので、アロヨが2010年の任期満了まで政権に居座り続けるというシナリオも大いにあり得る。

大統領批判派の新聞社を捜索、非常事態宣言の比 - CNN.co.jp
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200602250005.html
アロヨ政権、左派国会議員を拘束 非常事態のフィリピン - asahi.com
http://www.asahi.com/international/update/0225/003.html

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