非常事態宣言発令

Arroyo declares state of emergency [INQ7.net]

PRESIDENT Gloria Macapagal-Arroyo declared a state of emergency Friday and warned those planning to grab power that their betrayal will be dealt with under the full force of the law.
早朝、JICAより緊急連絡が入った。「ボニファシオでクーデターが発生。エドサ通りでラリーも予定されているので外出禁止」とのこと。早速ネットでニュースをチェックしてみたのだが、そのときには既に首謀者とされる陸軍特殊偵察部隊指揮官 Danilo Lim 准将は拘束されたようで、それほど大事には至ってない様子だった。

最近フィリピンでは、マルコス独裁政権を倒した「ピープルパワー革命」の20周年記念日にあたる2月25日を控え、政権を一掃するための動きが活発化している。これに関係があるのかどうかは不明だが、先日もマラカニアン宮殿内で爆破物が仕掛けられるという事件もあったばかりだ。今回の非常事態宣言も、このような不安定な政情が明日も続くことを視野に入れてのものと思われる。

しかし、今フィリピンという国が一番の緊急課題として取り組まなければならないのは、当然のことながらレイテ島で被災した地域の救援・復旧活動であるはずだ。こうしている間にも、被災者の救出は困難を極め、水疱瘡などの感染症の拡大が新たな問題となり始めている。

もちろん、E-VAT法の施行による経済的ダメージや選挙不正疑惑など、アロヨ現政権に対して民衆の憤懣が鬱積しているのは周知の事実だし、そこにきて「ピープルパワー20周年」という反体制派にとっては十分すぎるほどのきっかけが与えられたことで、民衆を巻き込んで革命を起こすという行動に出たのは当然の流れだと思う。

しかし、今クーデターを起こすことが果たして正解だったのだろうか?もちろん、クーデターという非合法的な武力行使を容認しているわけではないが、レイテ島での大災害が復旧の目処も立たぬままにいたずらに時間が過ぎているこの瞬間に、政権うんぬんという高尚な問題を争っていてもしょうがないだろう。

真に国の発展を願い、国民を思って政変を起こしたいと考えているのであれば、クーデターなどとくだらないことに情熱を燃やすのではなく、レイテ島での救援活動に傾注すべきだろう。しかも首謀者は、本来先頭に立って救援活動を指揮するべきはずの陸軍の指揮官ときている。

これでは、いくら「人民の為の革命」だと声高に叫んだところで為政者としての資格があるとは思えない。国が抱える問題に対して、ろくに優先順位もつけることが出来ないのだから。

##補足
報道では首謀者は国軍とされているが、一部では大統領府による自作自演では?とか、実は Lim 准将はまだ拘束されておらず、NAIA(ニノイアキノ空港)経由で逃亡した?とか、情報が錯綜している。しばらくはこんな状況が続きそうだ。

Senior military officers arrested in new Arroyo plot - Manila Bulletin Online
http://www.mb.com.ph/MAIN2006022457125.html
非常事態を宣言 国軍高官のクーデター計画で − 毎日インタラクティブ
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060224k0000e030086000c.html
比大統領宮殿で爆発 テロ警戒の矢先 - 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060220-00000027-san-int

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