喫煙室から生まれる小さな幸せ

喫煙室は、思いがけない創造力をもったコミュニティ空間だ。

スモーカーの方々なら、このニュアンスは分かってもらえるだろう。喫煙室というのは、デスクと社外との中間的な存在。つまり、一応会社の中に居て、ステータスは「仕事中」ということになっているのだが、デスクにいるときのような緊張感はなく、大いに雑談に花を咲かせることが出来るという、ある種不思議な空間なのだ。誰もがリラックスした気分でコーヒーをすすり、「ライター貸してもらえますか?」という一言をきっかけに、色々な人と知り合いになれる。

普段会話をすることもない他部署の人々とのコミュニケーションの中で、自分の部署には無いアイディアや技術を教えてもらうことも出来る。また、いつもは無愛想な上司も、喫煙室では「コーヒー飲むか?」などと気の利いたことを言ってきたりする。また、それをきっかけに、私の方もデスクに居ては言えないような本音をぶちまけることも出来る。

以上は、サラリーマン時代の話だが、フィリピンでも喫煙室というのは重要なコミュニティ空間であることに違いはない。

私の配属先の大学は学内禁煙なので、タバコを吸うときは正門にあるガードマンの控え室に行っている。私の中では、ここが「喫煙室」。厳密に言えばただの更衣室なのだが、学校中の先生達がここにタバコを吸いに来るので、事実上喫煙室と言っても過言ではない。

ここでは、仕事上での係わりは全くない水産学科の先生や、カンティーンのにーちゃん、ガードマンなど、色々な人と知り合いになれる。知り合いになったからと言って、これといって得をすることがあるわけではないが、ただ学校や街中で偶然会ったときに声をかけてくれるというだけで、とても嬉しいものだ。異国の地に住んでいる私にとっては、街中で笑顔で挨拶をかわせる人がいるというだけで幸せなのです。

CNET Japan BlogのKenn's Clairvoyance:社内ブログ導入記(1)でも、タバコ部屋の効用について述べられています。