原油価格の高騰が庶民に与える影響

Transport group eyes P2 increase in jeepney fare [BusinessWorld Online]

The Philippine Confederation of Drivers Organization-Alliance of Concerned Transportation Operators (PCDO-ACTO) will file today a petition seeking a P2 rate increase for jeepney fare. The petition, if approved, would raise the minimum jeepney fare in Metro Manila to P7.50.

PCDO-ACTO(フィリピン輸送機関運転者同盟)が、ジプニー運賃の値上げ申請を提出した。マニラ首都圏における、現状のジプニー運賃は5.5ペソなので、値上げが決定したとすれば7.5ペソになる。

私が赴任する直前の2004年6月にも、当時4ペソだった運賃が5.5ペソになった経緯があるので、もしもこの申請が通ったとしたら、1年も経たないうちに二度も運賃が改訂されたことになる。

ジプニーについては、以前フィリピン交通事情1(ジプニー)でも触れた通り、フィリピン庶民の足としては欠かせない存在となっている。日本でいうところの電車やバスと同じようなものなのだ。

2005年2月4日現在の為替レートでは、1ペソ=約1.9円なので、2ペソの値上げは日本円にしてたった4円にしかならないと思われるかもしれない。しかし、実質的な物価の格差は約10倍〜30倍と言われているので、日本円にして40円から120円の値上げということになる。そう考えると、今回の値上げがフィリピンの一般庶民にどれだけ大きな影響を与えるかということが分かって頂けるだろう。(日本で山手線の初乗りが130円から170円に値上がりしたと考えてみて下さい。)

また、原油価格の高騰は発電施設で使う燃料の価格にも影響を与えるため、フィリピンの配電事業Meralcoも、度々電気料金の値上げを実施している。つまりは、日々の通勤で使うジプニー代だけでなく、電気代までもが値上がりしているということだ。

現在の原油価格高騰は、イラクなど中東情勢の不安定感が価格に上乗せされたり(いわゆる地政学的リスク)、高成長を続ける中国の需要が拡大していることが主な原因と言われている。しかし、その中において無視出来ない存在となっているのが、ヘッジファンドなどの投機筋の動きだ。

私は、彼等が机上のゲーム感覚で相場をコントロールし、原油価格を実需を無視した形で高騰させていっているという事実を、非常に腹立たしく思う。彼等は投資家の資金をうまく転がして、利潤を得ている。つまりは、金持ちを大金持ちにする手助けをしているのだ。その犠牲になっているのは何か?途上国や石油産油国の一般庶民ではないか。

彼等はきっと「合法的な取引の中から利潤を生んでいるだけだ。」というだろう。確かにその通りだ。しかし、金融工学を駆使した手法でお金儲けをするのは結構だが、そこに少しだけでも「倫理感」による判断が加わっていれば、事はここまで大きくなっていなかったのではなかろうか。

先月30日に開催されたOPECでは、日量2700万バレルの現行生産枠据え置きが決定した。このことにより、当面は供給を逼迫するような事態が避けられたが、あくまで一時的な安心感を市場に与えたに過ぎないと考えたほうがいいだろう。問題の根本的な部分は全く解決されていないのだから。

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