フィリピンの歴史教科書から見た日本

フィリピンの歴史教科書では、日本はどんな書かれ方をしているのか。

フィリピンの歴史教科書から見た日本
佐藤 義朗 後藤 直三 栗山 敦史

明石書店 1997-07
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本書は、マニラ日本人学校で派遣教員として赴いた小学校教諭が、フィリピン人が学校教育の中で、日本という国や日本人についてどのように認識し、どのように教育されているのかを探るべく書かれたものだ。

フィリピンの歴史教科書の和訳を中心として編集されており、日本の学校教育では教えられてない様々な事実を知ることが出来る。中でも、第二次世界大戦中に日本軍が進出した際、ゲリラ軍の攻略という名目で大量の住民虐殺を行ったことや、バタアン死の行進、レイテ島での激戦などは一読に値する。

教科書では、「日本軍は文明時代の戦争行為に関するあらゆるルールを踏みにじって、無力な捕虜を家畜のように群集させ、そして貴重品を略取しました」や、「残酷な日本の警備兵に無慈悲にも銃剣で刺されたり殴打されたりしました」など、反日感情をダイレクトに記述した文章も多く見られる。

私の周りのフィリピン人も、これらの教科書を元にして日本という国を認識してきたと思われるが、あまり反日的な態度を取られた記憶はない。それは、私がボランティアで来ているからなのか、周りに年配者がいないからなのかは分からない。

しかし一つだけ確実に言えるのは、彼等は決して戦争中の日本の行為を忘れてはいないだろうということ。日本人を恨む感情は、世代を重ねる毎に薄まっていくのかもしれないが、日本が犯した行為についての事実は、しっかりと受け継がれていく。私の周りの同僚も、事実についてはしっかりと認識しているはずだ。

過去の事実を「忘れない」ように教える。歴史教育の原点はここにあるのではないだろうか。

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