ピナトゥボ山と先住民族アエタ

フィリピンには、約400万人の先住民族が今なお存在する。

ピナトゥボ山と先住民族アエタ
ラカス Lakas 越田 清和

明石書店 1993-05
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中でもザンバレス州のアエタ族は、コルディレラ地方のイゴロット族やミンダナオ島のルマド族などとは違い、軍部から先祖伝来の土地を追われたり、ピナトゥボ火山の噴火の被害を受けるなど、数奇な運命を辿ってきた。

本書籍は、アエタ族がキリスト教修道士による識字教育への参加をきっかけとして、政治的、社会的、文化的な自由を獲得するまでのプロセスを描いたノンフィクションである。

彼等のモットーは「他者を抑圧せず、他者からの抑圧も許さず」であり、忠実にそれを実践しながら、世論への発言力をしっかりとつけていった。その過程には、現代人の我々が学ぶことも多くある。

また、我々ボランティアが行っている「途上国の開発援助」という行為も、一歩間違えれば「外部文化の押し付け」となってしまう可能性を示唆しており、援助される者は文化的弱者でもなければ、卑猥な存在でもないという至極当然のことを常に忘れないことの重要性を指摘している。

自分の協力隊での活動スタンスを再考させるきっかけを与えてくれた一冊だ。

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