反政府運動

Military ends ceasefire with Reds [Inquirer]

THE ARMED Forces of the Philippines (AFP) will resume offensives against the communist New People's Army (NPA) when their 21-day unilateral ceasefire expires at midnight Wednesday, a military spokesman said.

フィリピン国軍が、21日間の一方的停戦の期限が切れた5日真夜中過ぎに、共産ゲリラ新人民軍(NPA)に対する攻撃を再開した。

フィリピン国内には、反政府勢力が存在し、武力による反政府活動や爆弾テロなどが頻発に行われていることを知っている日本人は、意外に少ないのではないだろうか(自分もフィリピンと関わるまでは、全くといってよいほど無知だったが・・・)。内戦とまではいかないまでも、それに近い紛争地域が今でもフィリピン全土に点在している。

現在、反政府勢力として、武装闘争・テロを行っているのは主に下記の3つの組織だ。

新人民軍(NPA)
毛沢東主義を自称する、非合法組織の共産ゲリラ。スペイン植民統治時代における、大土地所有エリート層と、小作農や労働者との間の貧富の差拡大に伴い、共産主義勢力が台頭してきたところに端を発する。近年では、 一般人に対しても勝手に占領地域を設け、「革命税」という名目で金品を剥奪する行為が問題となっている。これらの影響もあり、現在のNPAは共産主義とは異なる思想に基づいて行動しているとの懸念から、支持基盤が揺らぎつつある。

モロ・イスラム解放戦線(MILF)
1970年、時のマルコス政権によってミンダナオ独立運動が非合法化されたのを受け、ミスワリ議長が「モロ民族共和国」の独立を目指して結成されたモロ民族解放戦線(MNLF)が母体。アロヨ政権の発足以降、政府軍とは幾度も停戦を結んでいるが、その度に合意を反故にしている。

アブ・サヤフ
国際テロ組織 「アルカイダ」 との、緊密な関係が取りざたされる、イスラム原理主義過激派グループ。1970年代に、急進派イスラム青年グループが、モロ民族解放戦線(MNLF)などから分派し、結成された。フィリピン南部バシラン、スルー州を主な拠点として、キリスト教徒に対するテロ行為を重ねている。

これらの反政府組織が活動を行っている地域には、基本的に協力隊は派遣されていないため、我々が直接的な影響を受けることはまずない。しかし、一歩田舎の山道などに足を踏み入れると、NPAが公道を閉鎖して軍事演習をしているという風景に出くわすことも珍しくない。

フィリピンの反政府運動は、キリスト教イスラム教の対立を軸として、それに植民地問題、民族問題、貧困問題などが複雑に絡み合いながら、約3世紀に渡り続けられている。冷戦終結後の世界の構図は、「テロとの戦い」と称されるように、全く新しい局面を迎えている。その中において、世界のテロ戦争の縮図とも言えるフィリピンの動向は、国際社会の今後を占う上でも無視できない存在となっている。