ターオ ポー!

いよいよクリスマスが近づいてきた。

この時期になると、自宅に突然、「Tao po!」(タガログ語で「ごめん下さい」の意)と大きな声で叫ぶ訪問者がある。玄関のドアを開けてみると、小さな子供が数人で立っている。そして、いきなり大きな声でクリスマスソングを熱唱してくれるのだ。あるときはタンバリンなどの楽器を持った賑やかなグループ。そしてあるときは、一人ぼっちのソロの子供。賑やかなグループの時は楽しく聞き入るのだが、一人ぼっちのソロで来る子供を見ると、マッチ売りの少女を思わせる面影に、なぜか切ない気分になってしまう。

子供達は、一通りクリスマスソングを歌った後、何かくれーと物乞いをしてくる。うちではこの子達専用のお菓子を常備して、それを一人一つずつ配るようにしている。ストリートチルドレンなどの子供の場合、本当はお金をあげた方がいいんだろうが、なんとなく子供の間で差別をしたくなかったので、どんな子が来ても同じお菓子をあげるようにしている。

雪こそ降らないが、カトリックの国で迎える本当のクリスマスが近づいてきた。