家族愛

自宅の隣に住んでるおばちゃんがとても親切だ。

自宅の隣にすむサリーというそのおばちゃんは、配属先の大学の同僚である。教育学部の先生で、一家の大黒柱だ。夫と娘・息子の4人家族で、とても仲良く暮らしている。

最近、このおばちゃんが、よく飯を食わせてくれる。自分が水虫の悪夢に悩まされ、歩くのもままならない状態を察して、「ちゃんと食べてないんでしょう!野菜もちゃんと食べなきゃだめよ!」とおばちゃんの家に強制連行される。そして、具沢山の野菜炒めや煮物を沢山食べさせてくれるのだ。

今朝も、日曜日(しかもハロウィン!)だというのに、朝の6時半くらいに「ニコ!ニコ!、朝食よ!」と大声で叫びながら、ドアを連打。ここまで気持ちよく”叩き”起こされたことはない(注。ニコは私のあだ名)。せっかく朝食を作ってくれたのに、不機嫌な顔で出て行くわけにもいかず、笑顔で朝食を頂戴しに行く。

自分はサリーの家にホームステイしているわけでもないし、サリーは私のお手伝いさんでもない。それなのに、ただ隣に住んでいるというだけで、これだけお節介をやいてくれる。サリーからしてみれば、フィリピンで身寄りのない日本人が、たった一人で生活していることを、すごく心配してくれているのだ。サリーさん曰く、「お隣同士、家の垣根はあるけど家族の垣根はないのよ」だそうだ。自分の息子と同じ年くらいの私のことを、家族と同様に扱ってくれていることに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになる。

サリーの家の中を見てみても、決して裕福とはいえない。恐らく生活もギリギリなのだろう。それなのに、私に気前よく飯を食わせてくれる。フィリピン人の家族愛は本物だと、つくづく思う。肩書きだけの「家族」ではなく、本当にいつも一緒にいないと落ち着かない・心配だ、という感じなのだ。自分もちょっとだけ、サリー家に入れてもらったみたいで、ホッとした気分になる。フィリピンでの実家が出来たような気分だ。

(写真は卵の塩漬けです。朝食の付け合せや、酒のつまみによく出てくる)